「痛風フェス」とは何だ!

 聞けば都内某所で「痛風フェス」なる催事が行われているそうだが、ふざけるのも大概にしろと声を大にして言いたい!

 言わずもがなだが痛風とは正確に申すなら健康体なら速やかに体外に排出されるはずの尿酸が何らかの理由で体内に蓄積し引き起こす高尿酸血症なるれっきとした病気の症状であり、その尿酸が体内に蓄積すると関節、主として左右の足の親指第一関節で結晶化して急性関節炎発作の激痛を引き起こすのを痛風発作と称するものだが、その痛みたるや自由に立ち歩くなどは到底不可能かつ大の大人でも涙を流すとされるもので、かつ風が吹いても痛みでのたうちまわるとの意味あいからの命名なのであり、また放置すればやがて生命にかかわる腎不全などにも至る深刻な疾病でもあるのである。

 しかも患者本人の不摂生のみで引き起こされる症状ならまだしも、遺伝的な体質で尿酸値が高くなった結果発症するケースも少なくないのである。

 古くは「帝王病」とも呼ばれ贅沢な食生活の帰結とも誤解を受けていたが、先に述べた事情で必ずしもそうでないのはお分かりだろう。

 かく申す当方も三十年来の痛風持ちであり、日常生活で気をつけてはいるものの先天的な高尿酸血症は如何ともし難く尿酸値をコントロールする薬は欠かせないのである。街場の飲食店でも「痛風鍋」などと称して鮟肝、鱈の白子、牡蠣、その他魚介の内臓類など痛風の原因となるとされるプリン体の豊富な食材ばかりを山盛りにした料理を供するような店があるようだが、かような事情を知ってか知らずか安直な商魂たくましさのみでこのようなネーミングを選択している運営当局に厳重な抗議をしたいものである。果たして心不全フルコースとか脳梗塞懐石などの名を冠した料理で商売が出来るのか!