大都会の猛禽類。

Masculin:今「ダーウィンが来た!」を観てるんですよ、NHKの。

Féminin:うん、私も観てるわ。NYのハヤブサのお話ね。エンパイア・ステート・ビルにいる…この後はEテレの「日曜美術館」から「クラシック音楽館」だけど。

M:右に同じで…それで思い出してたんですけど、あれは8年前のちょうど今頃だったなぁ、当時住んでたマンションのベランダに珍客があったんですよ。

F:その頃の貴方のお家なら隅田川西側べりの17階のお部屋だったわね。珍客って一体どなたがやって来たの、まさかそんな高い場所のベランダから若い女性なんてことはないわよね?

M:…峰不二子じゃあるまいし。今日と同じく冷たい雨のそぼ降る日の昼下がりだったんですけど、ふと窓の外を見やるとベランダの手すりで羽根を休めつつ大川を見やる一羽の鳥が。ハトかと思ったけど少し大きく、手すりをがっちりつかむ爪は鋭いし窓ガラスのこちらからそっと見た横顔のくちばしもまた…紛れもなく猛禽類で。

F:その大きさならハヤブサよりも小さいくらいでしょうけど、東京のまん真ん中の隅田川のほとりになんかいるのかしら…。

M:えぇ、さすがにハヤブサではなかったようで。で、すぐさま検索したらどうやらツミらしかったんですよ。

F:ツミって最小の猛禽類の?確かにハトよりも一回り大きいくらいだって…でもまさか都心に?

M:意外にもかなり生息しているんだとか。また近年は都心の公園で営巣してるとも。まあ主たる餌は小鳥と昆虫だそうですから不自由はないのかも。

F:確かに都心の人工的な公園でも気をつけてるとシジュウカラムクドリヒヨドリオナガ、もう少ししたらウグイスの鳴き声も聞けるし、猛禽類には悪くない生育環境なのかしらね…。

(承前)