「ピアニストを撃て」?いや、撃ってはならぬ!

Masculin:いやぁまあ何て言うか、ピアニスト(34)が航空機内からのCA着用エプロン窃盗容疑で逮捕されたと。

Féminin:うん、最初名前を見て、あらもしかしたらと思ったらやっぱりそのひとだったのね…実演を聴いたことはないけどコンクール入賞から内外で着実にキャリアを積み重ねてたらしいのに…まあ容疑を認めてるそうだから。

M:海ならぬ空の上のピアニストは何をする人ぞだったのか…また報道機関によっては慎重を期したつもりなのか実名を出しておいて自称ピアニストなんて報じたとこも…まあありがちな事案なんでしょうけど持ち去った数が少なくないみたいで、またエプロンのみならず制服フェチとも言うべき典型的なフェティシズムで何かヘンタイめいた印象なのと、やっぱりピアニストとしてそれなりに名が世に出ているのが仇になるのかなぁ…とは言えもちろん罪は罪ですから。

F:また縁なき衆生のくっだらないマスコミがここぞとばかりに食いつくんでしょうね。本当に世も末だわ…ほら、十何年か前にチャイコフスキーコンクールの優勝者で指揮者としても世界的に活躍してるロシアのM.P.さんが東南アジア某国で何だか不名誉な件で検挙されて…その後はうやむやみたいだったけど。

M:もっと大昔では英国の指揮者E.G.がシドニーの空港での手荷物検査で様々な差し障りのある品物が見つかり、お堅い英国楽壇から爪弾きに遭ってその後は亡くなるまで不遇の日々を過ごしたとか。

F:これも十数年前だけど紅白にも出たリリック・テノールの人がクスリで捕まったわね。またクラシック畑の人だと、私生活上のことも含めて妙にマスコミが騒ぎ立てるから…聖人君子ばかりじゃないのはいずこも同じなのに。レオンカヴァッロ「道化師」のカニオの前口上じゃないけど。

M:気の毒だったのは「男はつらいよ」のテーマ曲で知られたY.N.氏で、車内で夫婦喧嘩して運転してた奥さんが怒って下車しタクシーで帰っちゃったもんで仕方なく自分でステアリング握って走り始めたら検問に引っかかり、また間の悪いことに免許証が失効してたものだから逃げようとして警察官に怪我を負わせちゃって…。

F:結局道交法違反だけだったけど、永年司会をしてらしたTVのレギュラー番組は謹慎で指揮者デビューの決まってたNHK交響楽団定期演奏会は降板で…さんざんだったのよね…本当に「男はつらいよ」だわ。

M:でも今回の件も既に逮捕され今後どういった形であれきちんとした法的な措置を受けるんでしょうから、本当に興味本位なだけの連中からの無責任な悪口雑言は避けて欲しいものですね…特にコタツ報道だなんて揶揄されてる一部の奴等は。

F:その通りね。ご本人もしっかりと反省し、二度と同じ過ちをしないようにお願いしたいわ、一ピアノファンとして…。

(Fin)