Féminin:ねぇ、NHKにW.A.さんて女性アナウンサーがいらっしゃるでしょ。
Masculin:あぁ、もう大ベテランですよね。最近は「ラジオ深夜便」と早朝の放送開始のアナウンスくらいだけど、お声を耳にするのは…ついでに旧姓はKさん、ご結婚されて別のKさんになり、その後再婚されてWさんになられたんじゃなかったなかぁ。いちいち名字を変えていや律儀な方ですねぇ。
F:へ〜え、どうして良く覚えてらっしゃるのかしらね…タイプだったの。
M:いや別に。低めのアルトの声は嫌いじゃないけど、ローレン・バコール的な鉄火な姉御タイプはあんまりね。エレガントなお姉様とはちょっと違うから。
F:ふ～ん、私のことをずうっと永遠のマドンナだなんて言ってたわりに気が多かったのはバレてましたのよ…それはそうと、ふと思い出したの。もう二十年近く前かしら、そのWさんが司会をしてらしたお昼の「スタジオパークからこんにちは」って生放送のトーク番組に草刈正雄さんがゲストで出た時のことを。
M:へぇ、草刈正雄ってお好きなタイプでしたっけ。ある時期を境にパタッと髪の色も量も変わらなくなって髪型も判で捺したみたいに…。
F:…ん〜もう、自分がまるで不自由してないからってそんなイヤミを…特に好きでもないけどデビューした頃から見てるし最近は渋さを増していい味だし、少し前の「ファミリーヒストリー」は胸をうたれたわ。そこで草刈さんがデビュー当時のCMのお話をしてたんだけど、NHKだからご本人が気を使って商品名や会社名を伏せて
「男性用化粧品の広告でデビューしまして…」とおっしゃってるのにそれを受けたWさんが
「あぁハイハイ、MG5(ファイブ)、資生堂の！」ってやらかしちゃったの(笑)。
M:いやぁそれはひどいなぁ。その昔の紅白の「真っ赤なポルシェ」騒ぎもだけど、未だに大相撲中継でも懸賞がかかるとぐっとカメラは引くわ音声は絞るわなのに。局アナ自ら掟破りの商品名と企業名連発だなんて、ゲストのせっかくの配慮も水の泡で…草刈氏も心の中でギャフンとなったでしょうね、草刈真っ青とか(笑)。
F:…めったに言わない駄洒落はやめてくださいます。でもある時期はコンサート中継でもピアノの銘板に黒いテープを貼ってたわよね。「きょうの料理」でも講師の料理人の方の白衣の縫取りを同じように隠して。
M:そう言えばやっぱり昔、青年コミック誌で登場人物が歩数計をボロクソにけなすセリフがあったんだけど、よりによって「万歩計」って商品名で書いたものだから次号で著者編集部連名で製造販売元への半頁大のお詫びに追い込まれて。
F:それはむしろ編集部の責任が大きいわね。でもWさんも始末書くらい書いたのかしら。クールビューティって言われてたのにその実像は意外にとっ散らかった方なのかも。
M:…どことなく誰かさんにも良く似てるような…おっとクワバラクワバラ(笑)。
(Fin)
