Navarin d’Agneau Printanière(仔羊のナヴァラン春野菜添え)

Masculin:妙に暖かかと思うとまた寒い日が続いたりですね。

Féminin:…珍しいわね、お天気の話からなんて。早くもブログのネタ切れかしら。

M:お姉様がそうやって憎まれ口をたたいてくれさえすればネタ切れなんてありませんよ。で、そんな不順な陽気だから仔羊のナヴァランはいかが?

F:どうしてナヴァランなのか良く分からないけど美味しいから良いわ。春野菜もそろそろ出て来る時季だし。それにいつもご馳走になってばかりだから、ルセットを教えて貰えば逆にご馳走出来ますしね、お願い。

M:何だか逆に心配だなぁ…それじゃまず仔羊はなるべく冷凍でない肩肉か肩ロースのブロックを4〜5cm角に切り分け、強めにアセゾネして粉をはたきピュアオリーヴオイルでリソレし煮込み用鍋に移します。

F:うん、煮込み料理のいつもの手順ね。

M:続いて同じフライパンで皮付きで縦割りにして芽を取ったニンニクと玉葱、人参、セロリのミルポワをスェエしトマトペーストを加え、煮込み用鍋に加えたらフライパンを辛口の白ワインでデグラッセし旨味をこそげ取り鍋に。無添加のフォン・ド・ヴォーを加え水分をひたひたに注ぎブーケ・ガルニを落とし180°Cのオーヴンに鍋ごと入れてきっかり1時間。

F:1時間で大丈夫?

M:仔羊の香りと適度な歯ごたえを残すにはそれくらいがちょうどです。一晩冷蔵庫で寝かして翌日表面で固まったアクと脂を一網打尽にし、肉を取り出し煮汁をパッセして煮詰めます。煮込んだニンニクを裏ごしして加えるのも可で。

F:ねぇ、ナヴァランてナヴェ(蕪)を入れるからそういう名前なんでしょ。一緒に煮込まないの。

M:フランスでも家庭ではそうするんでしょうけど、例によって一歩踏み出すのがテーマですから。茎を残し四つ割りにしてブランシールした蕪をバターでスェエしたのを主体にお好みの春野菜をどうぞ。

F:あら、そうね…朝掘りの筍、菜の花、はしりの天豆、それから何か山菜も…。

M:それじゃあお皿からはみ出しちゃいますよ。やっぱり心配だから食べる前の日から仕込みにお邪魔しようかな。その晩はご近所のお姉様行きつけのお鮨屋ででも軽く呑んで、翌朝はご自慢の朝御飯を振る舞っていただくと…。

F:…確か「大空港」のラストでバート・ランカスタージーン・セバーグに言った台詞だわ…嬉しいわ、遅れ馳せながらやっと父の遺言どおりマスオさんになる決心をしてくれたのね。それじゃあ食材を揃えてお待ちしてますわね♡。

(Fin)